ゆーすけと愉快な仲間達。アヒャ!

赤坂は忙しい

時は年末。さすがの某腐れ居酒屋も、年に一番の稼ぎ時だ。
また、この年末に向けて新人を大量投入して、無理矢理に乗り越える時期でもある。もちろん、新人は限りなく1月終わりか2月初めまでには辞めて行くが。店側としても長年の経験からそれを承知なので、働かすだけ働かして、あとはポイッ!(・∀・) 辞めるなら辞めればぁ?こんな感じだ。

そんなある年の年末。親友本Dもすでに辞めて居なく、調理場は俺の悪魔の基地と化していたのだが、いつものように新人が2人ほど時間差で入ってきた。

先に入った1人は本業調理人の人。なんでも、副業でウチで働きたいと言う。
まぁ、実際そこそこマジメな人で、適度に仕事も覚えるしヤル気もある。俺が教えていた感触としては、最近では珍しく続きそうな人材だと思った。

しかし、それは突然にして起こった。

 

当時は芝原店長時代。ついでにエリア係長は腐れ顎多係長。
芝原店長は、限りなく幹部連中にコビを売りまくる人だったので、ことあるごとに係長を持ち上げまくる。見ていてある意味可哀想にも思えるほどだ。

係長がウチの店に来ていた日のことだった。

 

顎多係長「あいつ、髪長くねぇか?」

芝原店長「マジっスかっ!?言ってきますわ!」

 

意気揚々と新人の調理人に向かう芝原店長。いやな、あんた今まで気付いてなかったのかよ?いまさら「マジっスかっ!?」はねぇだろ。

 

芝原店長「おい!お前、いつ髪を切ってくるんだ?」

新人調理人「昼の仕事が忙しくて、年明けまで休みが取れません。」

芝原店長「あのよ、忙しくなる前に切れよ。切るまで来なくていいから。」

 

係長の前では良いところを見せようと必死の芝原店長。横で顎多係長はニヤニヤしている。芝原店長は、係長の前で格好がついたのか、満足気に「あれは駄目っスよ。」等と言ってやがる。さすが会社の犬の骨。何があろうとも絶対服従。不憫だ。

さて、これ以降この新人の本業調理人は2度と来なくなった。エンディングだ。つうか、せっかく良い人入ったのによ。また俺がハマりか。

しかし、奇跡的に間隔を開けずにまた新人が入ってきた。名前は赤坂。
よし!今度は髪も普通だし、こいつが頑張れば大丈夫だ。

この赤坂、なんと、こないだエンディングを迎えた調理人の知り合いだという。むしろ自分も調理人としてホテルで働いているらしい。願っても無いバイトだ。

 

赤坂「なぁ!?○○さん、辞めたの?」

俺「・・・ああ。髪が長すぎたな。」

 

なんだかいきなりタメ口の赤坂に気分を害したが、まぁ、良い。どうせ年末でグウも言えなくなるだろう。気にすることは無い。

そして。。。事件は起こった。

 

まだ半端に忙しい日のこと。丁度、俺と唯一仲の良い幹部である田端係長が店に侵入していた。どうやら、この時期のウチの店を手伝いに来たらしい。
それでも、この日はいつもの週末並。普段通りの捌き方で問題ない。フライパンを煽っている俺はそう思っていたのだが。。。

串や魚等の焼き物のポジションにいる新人赤坂。すでにテンパイ。それを見て、田端係長が手伝っている。まぁ、新人だから仕方無いだろう。辛抱して頑張れ。

しかし、その刹那、

 

赤坂「いま、忙しいんだよっ!」

 

突然、怒鳴り散らし、田端係長の胸倉に掴みかかる赤坂。おいおいおいおい!何やってるんだよ!おまえ、頭おかしいだろ?

一瞬、俺にも何が起こったのだか解からなかった。
後で聞いた話だと、どうやら冷蔵庫から魚を常温に出しっぱなしにしていた赤坂に、田端係長が「しまっておけ。」と注意したらしい。何故かそれにキレた赤坂。

 

俺「赤坂、やめろって。おまえ、バカか?

 

止めに入る俺。赤坂と田端係長は今にも殴りだしそうな勢いだ。

 

赤坂「だって、こいつ、俺が忙しいのによ!」

俺「だってじゃねぇから。上司に”こいつ”とか言うなや。」

 

なんだか俺までムカついてきた。あのな、忙しいのは皆一緒だ。バカ。お前が出来ないからってキレるなや。ホテルだかなんだか知らねぇが、お前はここでは新人だ。
今すぐ赤坂を油に放り込みたい。でもその反面、心の中では赤坂の行動に笑いそうだったが。

 

赤坂「辞めるわ。」

 

突然そう言うと、赤坂はサッサと帰ってしまった。いやね、ほんとね、バカかとアホかと。

その後田端係長は具合が悪くなったのか、無言になって仕事をしていた。まぁ、幹部とあろうものが、バイトにキレられるとは思わなかったのだろう。俺も、長いフリーター生活の中での初体験だ。こんなヤツ、見たことねぇ。

おそらく、赤坂は、調理人としてのプライドで凝り固まっていたのだろう。絶対の自信がある自分に指図されたのが気に食わなかった、ということか。このテのヤツは、仕事が続かないんだろうな。

まぁ、非常に面白いネタではあったが。

上に戻る