ゆーすけと愉快な仲間達。アヒャ!

CD2000枚

年末の某腐れ居酒屋。俺がバイトで入ってから初めての年末を迎えようとしていた。

年末年始に備えて、調理場は人がウジャウジャと増殖。当時の店長は朴という人物。朴店長は、人員だけは取り合えず増やしまくって体制を整えようとしていた。

その増えまくった新人の中に、A濁という男がいた。

このA濁、なにやら暗い影が付いているようなヤツ。存在感が薄いのも去ることながら、何かに取り憑かれたような目をしている。まるで、これから黒魔術で死神を召還しそうな勢いだ。

そんなA濁は仕事のヤル気がゼロ。まったく覚えようとしない。そして覇気も無い。それでも俺は、他の新人と同じように教えていた。いつかは良くなるだろうと信じて。

そしてA濁のオーラ的に誰も話しかけようとしない。俺も仕事以上のことはあまり話しかけない。しかし、本Dだけは優しく会話を振っていた。さすが本D。誰に対しても一律に接するのは素晴らしいよ。まぁ、単にネタになりそうだからかもしれないが。

ある時、ついにネタを見つけたのか、本Dはニヤニヤ(・∀・)しながら俺にこう言った。

 

本D「いや~、A濁さんにさぁ、何か趣味は無いの?って聞いたのよ。」

俺「あいつの趣味?」

本D「そう。そしたらさぁ、何て言ったと思う?」

俺「え?」

本D「妙にオドオドしながら”いや、あの、CD2000枚”だって。」

俺「は?」

本D「CD2000枚~~アヒャ!ヽ(゚∀゚)ノ

 

なるほど。趣味は「いや、あの、CD2000枚」か。

あん?・・・趣味として通じてないんだけど。というか、それが答えか?さりげなくどころか、無理矢理自慢しすぎ。

そんなマトモに話せないA濁。なんとか年末年始の営業を越したある時、事件が起こった。

ウチの店の調理場は通常、1人1人ポジションが割り当てられている。仕事が終わって上がる際には、自分の時間内で受け持った所をしっかりとキレイにしていかないといけない。という暗黙の了解があった。暗黙というより、まず俺がキレる。
店長はというと、当時の朴店長なんぞは、「指示できない店長」だったので何も注意しないのだが。

その日のA濁のポジションは揚げ場。もうそろそろ帰る時間だ。
ここのポジションは帰りに油の入ったフライヤーをキレイにしていかないと駄目だ。そしてその後は床もブラシで擦る。これは店の決まりだ。例え店長が何も言わなくても、俺が許しえない。

少し立て続けに客が入って、俺は調理に専念。ひと段落着いたときには、A濁は調理場から忽然と姿を消していた。

 

俺「あれ?A濁さんは?」

 

すでにピキッときつつある俺。挨拶も無しに居なくなったA濁。これは、もしや…
A濁が居た揚げ場を見てみる。ほう、一応キレイにはしてるな。そかそか。。。ん?

 

床が油だらけ

ありえねぇから。
バブルスライムが弾けたようにドロドロの床。毒の沼地になってるじゃねぇか。
瞬時に俺はキレた。

 

俺「A濁よぉ、ありえねぇから!何だよ、この床はよ!知らぬ間に帰ってるんじゃねぇ!」

 

これから引き継ぐ人のことを何も考えてない。というより、逃げるようにして帰ったA濁がありえない。
それを見ていた本Dは、更衣室にダッシュするなりA濁を連れて来た。なんだ、まだ居たのか。

 

A濁「なんですか?」

 

あろうことにトボけるA濁。オマエこのやろう。

 

俺「床やってないだろ?駄目だから。ありえねぇから。」

 

突如として私服で床を磨くA濁。磨かざるを得ねぇから。

こうした一幕があった。これからA濁はどうなっていくのか不安だったのだが、後日A濁は黒々とした陰謀にハマり、エンディングを迎えることになる。

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