やっぱりギャルはギャル。

狭間に揺れる想い

それは俺がDQN居酒屋でのフリーター生活の頃。
入った当初のいつもの「ゆーすけと愉快な仲間達」はそれぞれ散り散りになり、俺が事実上のドンとして君臨していた。

入ってくるヤツは皆年下。しかもヤル気のねぇクソ共ばかり。ちょっと言うだけですぐ辞める。お前ら、働く気無いなら最初から来るな。
そんなレベルの低さに俺はウンザリ。俺の後釜なんてできるわけもない。もう末期だな。

俺の考えとして、ヤル気の無いやつらがウジャウジャいるよりも、1人でやったほうが良い。と思っている。そんな奴らは邪魔なだけ。
でも、仕事出来なくても、ヤル気があるやつは好きだ。そういうやつには俺は優しくする。これが俺のモットーだった。

そんな数少なくなったバイトの中に、学生の女3人衆がいた。こいつらはお互いに仲が良く、俺も認めるヤツら。そしてこいつらは俺を慕ってくれていた。そんな3人の中の1人に一際目立つ千秋(仮)という女がいた。
こいつは年は若く、俺の嫌いなDQNギャルっぽさ満載で、イカレキャラクターの要素も抜群。俺より狂っているんじゃねぇか?というヤツ。
でも、中々に良い仕事をする。というか、ヤル気がある。だからこそ俺も認めていた。

俺はことあるごとにちょっかいを掛ける。濡れ雑巾ぶん投げてみたり、狂ったように悪態をついたり、もう遊びまくりのからかいまくり。
千秋もそれに負けじと「うっせーバカ!」等と言いつつ、叩いてきたり蹴りを入れてきたり、挙句の果てには俺を階段から落そうとしたりしてきた。変な女だ。
もうDQN。物凄くDQN。純粋無垢な俺にこんな野蛮な行為をするとは。お前、面白いな。

でもな、案外こいつとは馬が合った。
こんなDQNギャル系の女でも、やっぱり女の子。時折、切ない表情をして「ゆーすけさんって、仕事すごくできますよね。尊敬しますよ。」
等と言いやがる。いや、俺が特別じゃなくて、やらないヤツが多すぎるだけなんだけどな。つーかちゃんとやるヤツなんて7年間で3~4人しか出会ったことないけど。
千秋は、ギャルながらも、どこか弱い。元々カワイイ顔してるからかもしれないが、普段DQNでも、たまに弱さを見せて俺を頼る時はすごく良いヤツに見える。
そんな俺と千秋は、蹴り入れたりお盆を投げて空中殺法しながらも、不思議と仲良くしていた。

ある時、というかクリスマスが近づいていた頃。俺は何気に千秋にプレゼントをしてみようと決めた。今思うとネタでもあり、本気でもあったのかもしれない。
意を決した俺は、何故かDQN小樽へ向かう。ネタであろうと何であろうと、とりあえず実行する。これも俺のポリシー。すでに俺の中では何かが弾けていた。

丁度S裏が彼女を引き連れて大阪から北海道旅行に来ていたので、DQN小樽へは観光のつもりでもあった。観光で小樽かよ。ありえすぎてつまらねぇ。
と、思っていたのだが、意外と面白い。土産屋に入るたびに目を輝かせる俺。蝦夷民のくせに小樽ごときで喜んでいる。ありえねぇ。

無事、S裏にイクラ丼を奢ってもらう。よし、あとはプレゼントだ。
なにやらどこかのDQNガラス屋でアクセサリーを買うS裏。彼女もニッコリ。幸せだねぇ。羨ましい。おれもおれも!ヽ(゚∀゚)ノ
硝子細工のアクセサリーGET!買っちまった。うひゃ!

以上、小樽終了。もう2度と来ることはないだろう。金無いとつまらん街だ。

帰路に着いた俺は、用意していたぷぅさんのヌイグルミにアクセサリーを持たせる。演出よ。演出。まったくもってカッコつけすぎ。

そしてクリスマス。イヴの日にもDQN居酒屋でありえないほどバイト。正月もバイト。俺に休み等無い。でも、今日はちょっと嬉しい大事な日。
人にプレゼントあげるって、こんなに面白いものだろうか。バイトに向かう俺の後には暖かな雪が降っていた。

チャンスを伺う俺。クリスマスだってのに大繁盛。忙しい。お前ら、さっさと家とかラブホとか行ってハァハァしてろ。
そんなことを思いながら時間はどんどん過ぎる。ん~、難しいか。

しかし、千秋が上がる頃、チャンスは訪れた。
休憩だった俺は、何気に裏階段で待ち伏せ。手にはプレゼント。ドキドキ。ドキュドキュ。
千秋キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

「これ、プレゼント。俺はお前にだからやる。」

うううわ!何だ俺。

「えっ?ありがとう!(*゚▽゚)」

無茶苦茶喜ぶ千秋。心なしか涙ぐんでいる。いや、確実に顔を赤らめ涙を流していた。うんうん。あげた甲斐あったな。

「嬉しい…」

等と言われつつも、仕事中に余裕が持てなくなり、この日はこれで終了。

さて、この後俺と千秋はどうなったか?
千秋は年明けにバイトを辞め、悠々自適な学生生活を堪能しているという。
その後、何度か遊びに誘ったが、中々快諾はしてくれなかった。
年の差も関係しているだろう。そしてあいつの中で色々と揺れ動く想いもあったのだろう。なんだかんだで優柔不断だし、意外と身持ち固い女でもある。
そんなことよりも、結局何が一番足りなかったか?それはヤツの言葉に凝縮している。

「わたし、金持ちと結婚するんだ~イヒッ!(*゚▽゚)」

お前な、金の亡者か。イヒッ!じゃねぇよ。やっぱりDQNギャルじゃねぇかよ。DQN金髪ジャージ満載の土地で何言ってやがる。早めに俺が亡き者にしておけば良かった。

空を見上げて歩く俺にはマイナス15度の風が痛かった。

もう一年も経つ。今年の冬の思い出。

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